愛甲季隆と玉川のアジサイ ウォーク記録

6月27日(火)、曇り、昨年実施し好評だった愛甲季隆と玉川のアジサイを観賞するウォークです。

朝方の小雨で、空模様が懸念されたが、今回も大勢の皆さんに参加いただきました。

集合は愛甲石田駅です。ウィークデーの通勤・通学時間帯、日産自動車や森の里へ向かう皆さんが大勢。昨年は愛甲橋までバスを利用しましたが、今年は愛甲石田駅前からウォークをスタートしました。

最初の目的地は、駅近くの熊野神社です。バス通りから脇道に入りましたが、多くの発見がありました。順次、発見を説明します。

熊野神社は、創建が鎌倉時代以前の由緒ある神社です。第一の発見は、県内で最古の部類となる石灯篭です。1380年(康暦2年)寄進の銘があり、南北朝時代。笠(屋根)と竿(円筒部)、基礎以外は後代のものです。

次は、拝殿のしめ縄も棒状で驚きですが、境内のイチョウの巨木、乳柱(にゅうちょう)です。

熊野神社の参道には、不動明王大日如来の石塔があります。不動明王は大日如来の化身です。

熊野神社から住宅街を抜けると長福寺です。以前は崖下の墓地の玉川側にありました。愛甲季隆の菩提寺とも言われていましたが、その痕跡は特に見当たりませんでした。本堂の前を進むと崖です。

長福寺からの眺めを堪能しています。眼下に東名高速、玉川がありますが、その向こうの丘陵が昔の毛利庄です。観ボラ役員の説明に、皆さん、愛甲の歴史に思いをはせていました。

神明神社に着きました。この一帯は、愛甲季隆の館跡とも言われていますが、残念ながら、当時を偲ぶものはありません。愛甲氏は横山党の子孫で、鎌倉時代に頼朝の御家人として活躍し、弓の名人として知られています。この地にあった館の炎上を見て、季隆の心は北条氏から離れたとの言われています。詳しくは、後ほどの「縁切り橋」で。

宝積寺の参道を歩きます。すくすく育った稲の苗に心も癒されます。

愛甲三郎季隆の菩提寺として創建された宝積寺です。愛甲季隆の供養塔(五輪塔)と言われるものが2基あります。

五輪塔の下部の地輪、水輪は後代のものです。昭和13年、16年の洪水で台石等が流出、昭和49年に修復されました。

玉川球場前の「縁切り橋」の碑です。丹後局が頼朝の子を身籠り、政子が激怒。愛甲季隆の案内で局が日向薬師参詣の時に、季隆の館を焼き討ちしたことで、この橋から館の様子を見た季隆は北条氏に反感を抱くようになり、和田合戦で和田側に就いたことにも繋がったとの言い伝えです。

残念ながら、紫陽花は盛りを過ぎていました。玉川沿いで見つけた紫陽花の前で、しばし観賞しました。花の色は土壌の影響で赤、青、紫になるとの説明がありました。

玉川に背を向けて、説明しています。玉川流域の小野の里には、愛甲季隆、丹後局、小野小町の言い伝えの他にも、歴史悲話(言い伝え)があります。一人の山伏が干ばつで苦しむ里人を救ったとの言い伝えです。里人が山伏を供養して作った「衣塚」が今でも残っているそうです。今回のウォークのコースから見ることはできませんでした。来年に期待です。(冒頭の写真は、その「衣塚」でしょうか。帰路に遠くから撮影したものです。)

式内社、相模13社の内の一社、小野神社に着きました。1194年(建久5年)納札の再興願主に愛甲季隆、大江広元の名があります。大江広元は、源頼朝から毛利庄を与えられましたが、その子孫は、安芸毛利家の祖となりました。また、小野の里は、日本武尊東征の逸話にも登場してくる場所です。

心配された雨は降らず、梅雨空が日差しを遮ってくれましたが、一息休憩です。

小野神社で集合写真を撮りました。

玉川沿いの山岸酒店前です。玉川の流域は、昔から氾濫で悩まされてきたが、昭和16年の大洪水では死者8名、流出家屋20棟以上の大災害となりました。同年10月、それまで蛇行していた流れを直線的にし、合流先を金目川から相模川に変えるという大工事に着手、戦時中であり、物資や労働力が限られていたが、婦人や若年者の労働奉仕に支えられ、昭和21年4月に完成しました。

最後の目的地である小町神社への上り坂です。時間にして10分弱ですが、ひたすら登りです。

小町神社です。丹後局が頼朝の子を身籠り政子に処刑を命じられたが、畠山重忠の家臣、本田次郎近常が局を見逃し、小野の里に愛甲季隆がかくまった。怒った政子の呪いで局は白髪になったが、小町神社に願を掛け元の黒髪に戻ったとの伝承があります。

伝説の美人小野小町の生誕地は、秋田県湯沢市など全国各地に点在していますたが、厚木市小野もその一つです。小町神社の拝殿の横に小町塚もあります。

小町神社からは、眼下に今日ウォークしてきた小野の里が一望できます。歴史のロマンに浸りつつ、山向こうに近代的な日産テクニカルセンターの建物も見渡せます。

小町神社駐車場で解散、半日のウォークは終了しました。アジサイの花は楽しめませんでしたが、あらためて歴史満載の小野の里を堪能できたウォークでした。

いせはら観光ボランティアガイド&ウォーク協会

伊勢原市を拠点とする観光活動を推進するボランティアガイドです。 伊勢原市周辺の観光案内や観光ガイド、ウォーキングなどを開催。